『 Part3 男同士の可愛いラブラブなストーリー』 - エッチでハッピー!!✩★✩ゲイ要素の高いオリジナル小説✩★✩
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『 Part3 男同士の可愛いラブラブなストーリー』

長編連載/あらすじ/雄真は、「個人的なスタイリスト」と称して、毎日面白がって礼士にファッショナブルな服を着せている。大学でそこまでファッションっぽいカッコをしていると、目立ってしょうがない。とうとうひとりの女性に声をかけられた。それをかわすのは簡単だったが、今度は男性に声をかけられた。

彼の名前は進矢。大学でルネッサンスの美術の勉強をしている。礼士はぜひ友達になって欲しい、と頼まれる。進矢は礼士と同じ様に友達を作るのが下手だと言う。ふたりはいつの間にか、飲みに行く間柄に。

礼士は進矢に雄真を紹介する。雄真は進矢のイケメンぶりに興奮し、学校の宿題のモデルになってくれと頼む。そして宿題の写真を見た学校の先生、海光(かいこう)は、雄真にぜひ進矢を紹介してくれと懇願する。

礼士と雄真はダブルデートを計画し、進矢と海光はまずまずいい雰囲気に。

進矢は雄真達に、ファッショナブルな服を買いたいので手伝ってくれるように頼む。ふたりは試着室で見た進矢の身体に目を見張る。高校時代レスリングをやっていたという彼は、ダビデ像のようだった。

海光は進矢にメイクのモデルをお願いする。顔だけじゃなく、胸から上にメイクするのが海光のスタイル。当日ふたりは、メイクしてそのままセックスに移行する。進矢にとってそれが初めての経験だった。





Part3 男同士の可愛いラブラブなストーリー



家を出る前に、雄真チェックが入る。俺のワードローブはすっかり変わってしまった。俺はどうやってコーディネートするかよく分からないので、彼の方が先に出る日は、前夜にこれとこれをこう着る、って教えてくれる。最初は徐々に変えていったが、そろそろ全開くらいの変身になってる。大学で人工知能の研究をしてるだけなんだけど、ファッションモデル並みのカッコをさせられている。一体なんのために?

「俺さ、ここまでファッショナブルなる理由、分かんないんだけど。」

「でも楽しいでしょう?」

「そりゃあ、褒められたリなんだりすれば嬉しいけど。このナリにするためにはヘアスタイルとかも気にしないといけないし。」

「いいじゃない。」

「靴もしっかり手入れしないとダメだし。」

「そうだ。昔聞いたんだけど、男がゲイかどうか知るには、靴を見ればいいんだって。」

「なんで?」

「完璧にピカピカだから。」

「そうとも限んないじゃない?」

「僕はピカピカだよ。」

「それってどういうこと?男を捕まえたい、ってこと?」

「ゲイのプライドです。」

「俺、でも人に見られるの慣れてないから。」

「え、そんなに見られるの?」

「そりゃあこのカッコで大学行きませんから、普通。」

「慣れてないだけでしょう?」

「誰が?俺が?それとも周りが?」

「両方。」

「今日も人に聞かれた。最近服変わったけど、どうしたの?って。」

「なんだって言ったの?」

「気分転換に。」

「僕はね、毎日楽しい。僕の礼ちゃんがカッコよくなって。」

「ドクターにも言われた。」

「なんて?」

「ハイなんじゃないか?って。俺のこと双極性障害にしたいらしい。その方が治療が楽しいんだって。不謹慎だよな。」

「じゃあ、明日のコーデ考えよ、っと。」

彼は俺のクローゼットを見渡して、ネイビーに近いブルーのシャツと、グレーのストライプのパンツを取り出す。

「あ、俺それ好きかも。」

「いいでしょ?」

「え、それで黒のセーター?カッコいいかも。」

「僕だったらこのブルーをメイクに使うんだけど、男ってつまんない。靴は紺ね。じゃ、僕もう寝る時間だから。」

「お風呂は?」

「疲れたから、朝シャン。」

「ダメダメ、疲れはお風呂に浸かって落とさなきゃ。」

「でもお風呂入ると、エッチなことになるじゃない。」

「それは君側の事情でしょ?俺、なにもしないし。もう湧いてるし。」

「もう湧いてる」という言葉に反応して、丁度、服を脱いでパジャマに着かえる直前でもあって、彼は風呂に向かった。俺もあとからついて行く。雄真のクリクリの巻き毛をシャンプーするのが俺の楽しみ。

「この髪、また伸ばすの?」

「伸ばしたいけど、そうすると縦ロールになっちゃうから。」

「いいじゃない。」

「そうするとまたイジメられるし。」

「誰がイジメんの?」

「分かんないけど。」

「あれは小学生とか中学生とかの話しだろ?また伸ばせよ。」

「なんで?」

「可愛いじゃん。」

「礼ちゃんだって、昔イジワル言ったじゃない。」

「俺なに言った?」

「少女漫画みたいだって。」

「少女漫画みたいに可愛い、って言ったんでしょう?」

「そういう言い方じゃなかった。」

「俺は君にイジワルしたことないよ。君のことはずっと好きだったし。」

「好きな子ほどイジメるって。」

「あ、それは多少あったかも。でも髪伸ばせよ。」

「どのくらい?」

「少女漫画になるくらい。あの唯花様役の子、綺麗じゃない。」

「ああいうイメージが好きなんだ。ちょっときつい性格?」

「美少女っていうか、美少年っていうか。美形な感じ。」

「ふーん。僕、可愛い系を目指してたんだけど、今度美人系もやってみよう。」

雄真はいつもなぜか俺にシャンプーしてもらうと、すぐエッチモードに入っちゃって、結局ベッドでエッチして、後ろから抱いてあげたら、すぐ寝ちゃった。


次の朝、俺は早く目が覚めて、めずらしく俺が朝ご飯を作ってやって、食べてる時雄真の顔を見たら、いつもと雰囲気が違う。眉がキリっとなってて、口紅もダークで美形な感じ。

「いいよ、そのメイク。」

「気に入った?よかった。唯花様の子、もっと研究してみるから。前髪も切り揃えるから。」

「気合が入ってるね。」

「だって。」

「だって?」

「礼ちゃんって、あんまりどんな子が好みとか言わないし。」

「言ったじゃない。」

「なんて?」

「俺は雄真がなにしてても好きだって。」

「やだー、もー。こんなにマスカラしっかり塗っちゃってから泣かせないでよ。僕もう行くから。ごちそうさまー。」

俺は雄真を泣かせるのは好きだけど、イジワルして泣かせるわけじゃないから。雄真が出て行ったあと、俺も大学へ行く支度をした。このシャツにパンツにセーターに、靴は紺でコートは短めで渋めの紫。いっけない、スカーフ、なんか言ってたけど忘れた。グレーに青に紫ときたら?思い出した、確かこの淡いピンクのスカーフだった。大学の構内をこのいで立ちで歩いていると、時々人が振り返る。このカッコで前、雄真の言ってた、ルネッサンスの美術とか、世紀末の怪奇小説とかのクラスにいればいいんだけど、理系の男ばっかのクラスではちょっと目立つ。靴がピカピカなのはゲイなんだ。いつも雄真に見張られてるから、俺の靴はいつもピカピカ。そのうち男に声かけられたりするんだろうか?俺は外見も中身も地味だから、今まであんまり友達もいなかった。中身は今でも地味だけど。ランチの時、レジで並んでたら、女性に、

「いつもお洋服素敵ですね。」

って声かけられた。俺は微笑むだけでごまかそうとしたら、ああだこうだ色々聞かれて、しょうがないから、

「彼氏が勝手に俺のこと、着せ替え人形みたいにして遊んでるんですよー。」

って言っておいた。事実だし。悪いけど。男だともっと断るの難しいだろうな。


だんだん着せ替えごっこにも慣れてきて、自分だと絶対選ばないような服ばっかだから、多少コスプレっぽいノリもあって、俺って誰?みたいな。その日は暖かくて、雄真はなんと俺に花柄のシャツを着せた。下は黒のジーンズで、まあまともなんだけど、その柄は幾何学的なんだけど、どう見ても何回見ても花で、その上は黒のテーラードっぽい革ジャン。髪は例のレトロ七三オールバックにされた。トイレで男に声かけられた。俺のシャツのことを、それって、どこどこのブランドですよね?って聞かれて、俺そういうの全然分かんないし、

「彼氏が買って来るから、俺は知らなくて。」

「え、そうなんですか?」

って、なぜかソイツは目を輝かせて、俺がトイレを出たら、ソイツもついて来て、

「僕、気が小さいから、なかなか友達できなくて。」

ソイツの靴を見たら、ピカピカだった。俺は今日は黒っぽいランニングシューズだった。考えてみたら俺も気が小さいから、大学にも数人時々話すくらいの人しかいなくて、だから友達と呼べる人もいなくて。気が小さいのに俺に声をかけてきたというのは、さぞ大変だっただろうと思って、なにか言ってあげようと思ったんだけど、とっさになにも出てこなくて、そしたらあっちからまた言ってきた。

「時々お見掛けしてたんですけど、貴方からはなにか感じるな、って。」

「特別なことはなにもないですよ。」

どちらからともなく、近くの構内のカフェに座って、彼は名前を、進矢だって教えてくれた。

「僕、田舎者なんで、なかなかゲイの友達できなくて。」

「へえ。」

「だから、よかったら友達になってもらえませんか?」

「俺も友達作るのすごく苦手な方で。」

「彼氏さん、いらっしゃるんですよね?」

「アイツは幼なじみで。」

「そうなんですか。会ってみたいな。」

「やめといた方がいいですよ。キャーキャーうるさいから。」

「楽しい方なんですね。」

「カラオケが趣味で。」


それから進矢とはランチを一緒に食べたり、お茶を飲みに行ったり、それはいつも大学の中で、こないだ初めて外界で待ち合わせして、雄真と一緒に飲みに行くことになった。俺と進矢は先に飲み始めて、雄真がバタバタ走って来た。俺の隣にバッタリ座ると、

「ゴメン礼ちゃん、学校が。」

「この方、進矢。」

「礼ちゃんから色々聞いてます。それにしても、綺麗な肌ですね?」

「そうですか?言われたことないけど。メイクの学校行ってらっしゃるんですよね?そのメイク可愛いですよ。」

「え、ホント?ありがとう。」

雄真はちょっと照れた感じ。俺が、

「随分盛大に塗ったな。」

って言うと、

「これはね、今日の授業でクラスの子にやられたの。でも上手でしょ?」

って言い訳をする。そして、

「進矢さん、よかったら僕のモデルになってくれませんか?」

「え、モデルって?」

「学校の宿題。男性のメイク。礼ちゃんに頼もうと思ってたんだけど、貴方の方が触発される。」

「ほんとですか?ちょっと照れますけど、いいですよ。」

「ヤッター!それじゃあ。」

「今、やるんですか?」

「だって宿題明日までだし、僕メイクの道具全部持ってるし。」

「メイクってどんなメイクですか?」

「アートっぽいヤツ。」

俺達はビールを飲みながら、食べながら、メイクの準備をしながら色々話して、雄真が、

「進矢さん、ってなんの勉強されてるんですか?」

「ルネッサンスの美術と世紀末の怪奇文学。」

俺が、

「え、マジで!」

と叫ぶ。雄真が、

「それね、僕、前に水商売してる時、お客さんの大学教授がね、同じこと言ってた。」

「それきっと僕達の教授ですよ。」

「沢島さん。」

「ほらね。」

「マジで?そんな勉強して、なんになるんだか、いつも不思議だった。」

俺が、

「そのふたつのことに、どういう共通点があるんですか?」

「それはね、ゴシックつながりです。ルネッサンス期は長いですから、周りにゴシックだのバロックだのが色々入り込んでいるんです。」

雄真が、

「あ、なるほど。じゃあ意外とトレンディーな話題なんですね?」

「そう、そう。秋葉原にゴシックのコスプレ見に行ったりしますよ。研究のために。」

「僕、今のゴシックって嫌い。でも本物ってどんなのかよく知らないけど。」

雄真は携帯で色々調べて、

「オリジナルのゴシックって建築様式だったんですね。12世紀から始まってる。絵画は宗教画が多くて、だから金がよく使ってある。」

「その通り。」

「じゃあ、金を使おう。」

俺が、

「金の物なんてあるの?」

「うん。今はなんでもあるよ。金だったら照明にも凝ろう。じゃあね、金は極薄く、顔全体に。」

進矢が、

「顔全体に?」

「それと、ゴシックの教会建築に欠かせなかったのは、ステンドグラスだから、そういう色をいっぱい使います。」

見る見るうちに素晴らしいメイクができ上っていく。

「できた!」

俺と進矢が同時に、

「もうできたの?」

「いい感じでしょ?」

進矢が、

「すごい、アートっぽい。」

「進矢さんはね、斜め横で上向いたところをたくさん撮りたい。」

「分かりました。」

ふたりはなんか、いいライトを探しに街へ行ってしまった。俺はいない間に肉とか魚とかを一生懸命食べて、ビールもガンガンいく。やがて帰って来たふたり。

「礼ちゃん、食べ物みんな食っちゃた。」

また色々オーダーしたり、メイクを落としてあげたりなんだりで、そしたら進矢が、

「ゴシックをテーマに、こんな短時間のうちにアートをお創りになる。素晴らしいです。」

「やだー、そんな。ただの宿題だってー。」

「いや僕も、もっと新しいアートについても勉強しなければ、と思いました。」

「メイクなんて、アートって言うよりファッションでしょう?」

「以前はファッションがアートからパクってたけど、今はアートが面白くなくてパクる物もないから、ファッションの方がよっぽど完成度が高い。実用性もある。」

俺がそこへ割って入る。

「それは極論だろう?」

雄真が、

「僕の先生はいつもアート、アートって、大事そうに言ってるけど、メイクってなんだろう?って考えちゃう。ファッションじゃいけないの?」

俺達3人は酔ってどうでもいいような議論をして、楽しく別れた。ベッドで寝てたら、雄真が突然起き上がって、

「沢島先生、僕に借金がある!取り立てに行かなくっちゃ。」

「なんで今思い出すの?どうなってんの、頭の構造?」

「知らない。お休み。」


今日、雄真が帰って来るなり、

「ねえ、礼ちゃん、進矢さんってほんとに彼氏いないの?」

「そうらしいけど。」

「先生がさー、メチャ好みだから紹介しろって。」

「先生がそんなこと言っていいの?」

「僕あの先生にショーのスタッフに抜擢されたから、恩があるんだよね。それにあの人、助手だから。ほんとの先生は別にいるの。」

「そーなんだ。」

「ま、いーや。僕食事の支度しまーす。」

手早く美味しい物を作ってくれて、しかも明日のお弁当まで。

「美味しそうなお弁当。」

俺は彼の巻き毛を激しく撫でて、メチャメチャにしてあげる。俺の愛情表現。

「先生ね、それでその話しの流れで、春の東京コレクションでもスタッフにさせてあげるかも、って言うの。どうする?」

「とりあえずちゃんとした人なんだろう?」

「うん。変わってるけどね。それでね、進矢さんの写真改めて見たら、先生がデザイン画の授業で描く顔にそっくりなの。だから好みなのは確か。」

「どういう顔なの?」

「あのね、流し目の似合う感じ。」

「分からんな。」

「あの時、顔斜めでカメラ目線、って言ったらそうなって、すごいカッコいいの。先生の絵もあんな感じ。」

「流し目。」

「うん。僕もね、もし進矢さんと上手くいったら、先生との変なウワサも消えるだろう、っていう目算もあるの。」

「目算ね。まだウワサあったの?」

「そう。暇でおバカの多い学校だから。あの先生、実際生徒に手を出してるらしくて、でもなぜか人気はあるから、早く彼氏を探せ作戦は前からあったんだけど。」

「人気あるんだ。まあ、君が学校入りたてでショーに送ったんだもんな。やることカッコいいよな。」

「そういう大胆さはあるの。どうする?」

「お見合い?」

「なんか変。」

「ダブルデート?」

「ダブルデートで、そのあと、じゃあ、あとはおふたりだけで、っていうのやろう。それ、面白そう。」

「さっそく進矢に聞いてみよう。先生の名前なんて言うの?」

「海が光る、って書くの。」

「かいこう?」

「そう。」

「本名なの?」

「知らない。」

進矢にラインしたら、さっそく返事。

「顔だけで、僕のなにが分かるっていうんでしょう?」

彼はやや懐疑的。俺は雄真に、

「コイツちょっと理屈っぽいんだよな。なんて言う?」

「え、っとね、恋はインスピレーション。」

「いいね。」

って、俺は笑う。そしてその通りに送る。進矢は意外と素直に、

「分かりました。よろしくお願いします。」

だって。

「君の、恋はインスピレーションが効いたのかな?」

「知らない。」

って、彼は笑う。


「またこのパンツ?」

俺はそのパンツ嫌いじゃないけど、スキニー過ぎて、穿くのも脱ぐのも、ひと苦労。それが黒で、その上も黒のセーターで、ジャケットはなんか光りもののバーガンディー。そしてカラフルなスカーフ。それは雄真ので、大振りのシルク。カッコよく巻いてくれた。雄真は、

「今夜はゴシックがテーマだから。今のじゃなくて、ほんとに12世紀から16世紀くらいのヤツ。」

「そうなの?」

「今、僕が決めたの。あ、だけど僕小っちゃいから似合わないのよね。そういうの。」

雄真はシンプルなストレートのドレス。なんか渋めのカラフルな幾何学的な模様。可愛い帽子を被ってる。赤茶っぽいロングブーツ。

「黒はイヤだから使わない。」

「俺に着せておいて。」

「礼ちゃんは似合うからいいの、っていうか、そのジャケットだと黒がいいな、って。ほんとのゴシックには特に黒は使ってないから。」

「そうだよな。黒は後世だよな。」

ふたりでワクワクしながらダブルデートの現場へ向かう。そこは大学の近くのカフェ。大きくて開放的なデザイン。先生、っていうか、海光は一番先に来てて、雄真のアドバイスとかで、黒は着ていなかった。わりとシンプルなスタイル。白いシャツにグレーのウールのスーツ。ネクタイはしてない。靴はピカピカ。ちょっと学校の先生っぽい。俺が海光に挨拶する。

「いつも雄真がお世話になってます。今日のスタイル、なんか先生っぽいですね、って先生か。」

海光は俺の冗談に笑ってくれる。雄真が、

「まだちょっと時間ありますけど、先生、ここらで身を固めてくださいよ。僕達みんなの願いですから。」

「そういうプレッシャーは止めてくれ。」

「あのね、先生ね、彼はロマンチストですよ。ああいう研究してるくらいだから。自分の魅力を十分発揮して、彼の心をキャッチしてください。」

「なに?俺の魅力って、なに、なに、なに?」

「その変なところですよ。よく言えば、ユニーク、個性あふれる、そういうとこ。」

「それって、でも、上手くいけばいいけど、裏目に出る可能性もあるじゃない?」

「先生って単純に面白いから、笑わせてあげるといいと思う。あっちは結構真面目っぽいし。友達いなくて寂しいみたい。」

俺が時間通りに現れた進矢に手を振る。進矢は少しうつむき加減で、ゆっくりした足取りでやって来る。海光は俺達に小さい声で、

「わー、思ったよりずっとイケメン。緊張してきた。」

自己紹介して、でもそのあとはふたり共黙っちゃって、両方知ってる雄真が頑張って喋ってる。

「海光先生は、先生としても面白くて人気あるんですけど、作品も素晴らしくて、みんなに尊敬されてるんです。それで、先生はパートタイムで、ほんとはメイクアップアーティストとしてあちこちで活躍されてるんです。」

進矢がなんにも言わないんで、代わりに俺が喋る。

「進矢の写真、先生がとても気に入ったみたいで、アートのこととか、話しも合うんじゃない?」

雄真が、

「進矢さん、今日大人しいですね。」

と、彼がなにか言わなければならない方向に持っていく。

「シャイなもので。田舎者なんで。」

俺が、

「そういえば君、どこの出身なの?」

「富山県と石川県の境です。真面目な人の多い土地柄で。」

海光が、

「へえ!世の中にはそんな所があるんだ。俺なんかきっとそこには住めないな。」

雄真が、

「そりゃ、無理ですね。」

進矢が真面目に、

「なんでですか?」

て聞くと、海光は、

「だって俺、ふざけてるし。」

「そうなんですか?学校の先生だっていうから。」

「学校にも色々あるから。」

雄真が、

「先生にも色々あるし。」

俺はこの調子の進み方だと、なかなか、「じゃあ、あとはおふたりで。」にはならないな、早く雄真とご飯食べに行くなり、飲みに行くなりしたいのに。そしたら意外なことに、いきなり進展が。海光が進矢をじっと見て、

「貴方のあの目にやられました。」

「それ、うかがいましたけど、失礼ですけど、それで僕のなにが分かるんですか?」

「目を見れば全て分かります。」

進矢は恥ずかしそうに下を向いて、

「なにが分かったんですか?」

「貴方の目は深くて暗い孤独の闇を見ている。本当はすぐ側に明るい太陽が輝いているのに。」

「明るい太陽って、なんのことですか?」

「それは俺です。」

俺と雄真は見詰め合って笑いを堪える。進矢は至極真面目に、

「貴方はそういう戯言をよく男性に言うんですか?」

「まあ、時々。」

海光はどこまでもふざけてて、進矢はどこまでも真面目。どうなるんだろう?少なくともふたり共、自分自身に忠実、なのかな?そしたら進矢が、

「僕なんかと付き合っても、面白くもなんともないですよ。」

「いいな、そういうの。」

進矢がハッとして海光を見て、

「え、なにがいいんですか?」

「いやあ、俺の周り、俺みたいにふざけたヤツばっかで。雄真だってそうだろう?」

雄真が、

「否定はしませんが。」

と言って、自分の巻き毛にクルクル触る。海光が、

「じゃあ、礼士さんに聞いてみましょうよ。礼士さんはふざけてないだろ?雄真のどこがよくて付き合ってんのか。」

なんでいきなり俺に?

「雄真のことは子供の時から知ってて、なにをしても可愛いです。」

海光が、

「ほらね、それって惚れてる、ってことだよね。」

進矢がなぜか少しムッとしたように、

「だからなんなんですか?」

海光は、

「だから俺は君に惚れさせる。」

進矢は笑い出して、海光は、

「やっと笑った。ほらその流し目、実物の方が、ずっとセクシーだな。」

俺と雄真は同時に立ち上がって、

「じゃあ、あとはおふたりで。」


上手くいくかどうかはまだ分からないけど、とりあえずお祝いに、飲みに行くことにした。大学の近くの、大学生の集まる居酒屋。雄真が嬉しそうに、

「上手くいきそう。」

「まだ分かんないだろう?だけどすごかったな。俺に惚れさせる、ときたもんだ。今後の参考にさせてもらおう。」

「なに、今後の参考、って?」

俺の知り合いの酔払った学生が来て、

「礼士さん、ここ珍しいですね。おや可愛い彼女さん。」

「雄真です。彼氏だけど。でもどっちでもいいけど。」

「へえ。ファッショナブルですよね。」

俺は、

「この人、僕の個人的なスタイリスト。」

「あ、だから礼士さんいつもカッコいいんだ。」

で、そいつはどこかへ消えてしまった。あちらこちらで酔った学生達が、歓声を上げる。雄真は、

「なんか、大学のノリって面白い。僕の知らない世界。」

「そうだろう?やっぱ違うだろう?あのふたり上手くいくかな?」

「先生は本気になると、マジすごいから。」

「なんでそんなこと知ってんの?」

「ウワサで。なんかね、ホコ天の真ん中で男にバラの花束渡したらしいよ。跪いて。」

「すごいな。それでどうなったの?」

「あんまりバカバカしいから折れて、しばらく付き合ってたらしいよ。」

「ふーん。そこまでやるんだ。」

「礼ちゃんだって、僕に花束くれたじゃない?」

「そうだったな。男はやる時にはやらないと。」

「カッコいい!礼ちゃん!」

雄真、そろそろ酔いが回ってきたみたい。

「君、クリスマスはどうするの?」

「僕はねー、毎日仕事。」

「仕事のあとは?」

「分かんない。麗花様がカラオケやろう、って。」

「カラオケは大晦日にして。」

「うん、分かった。」

「聞き分けがいいな。」

「うん。クリスマスは礼ちゃんと、ラブラブ。」

「仕事のあと毎晩マッサージ。」

「ヤッター!」

「なにか欲しい物あるの?」

「礼ちゃんは?」

「俺はね、君がいれば十分。いつも年末はウツになるんだけど、今年は君のおかげで大丈夫そう。」


クリスマスまで秒読み。俺はいつものように姉ふたりにラインで相談する。麗花様は、

「アンタ達も一緒に住んでしばらく経つから、そろそろなにかケジメをつけた方が。」

ケジメをつける。その意味は?

「こないだ雄ちゃんに会った時、さり気なく聞いてみたんだけど。アンタのために。」

「ほんと?麗花様。嬉しい!」

「雄ちゃんは、クラシックなイエローゴールドの6爪。」

「なにそれ?」

「分かんないの?バカじゃないの?」

「麗花お嬢様がそんな言葉使い?」

「お分かりにならないの?おバカでいらっしゃるの?」

「なんかあんまり変わんない。」

「勝手に勉強して。ほんとに分かんなかったら教えてあげる。サイズも聞いといたから。」

「サイズ?」

「じゃあ。」

「麗花様ー。」

仕方がないので、俺は、「クラシックなイエローゴールドの6爪」で検索してみた。ジュエリー?マジで?サイズ、って言ってたな。ということはペンダントじゃないよな。え、じゃあ?俺は雄真が帰って来る前に大分勉強したけど、買いに行く時は姉に同行してもらわないと。俺、貯金いくらあったけ?「クラシックなイエローゴールドの6爪」のエンゲージリングっていいな。俺もそのデザイン好きだな。やっぱり雄真センスいいな、って思ったら彼が帰って来た。このPC共同だから、急いで履歴を消す。バタバタしていると、雄真が部屋に顔を出す。

「礼ちゃーん、ただいまー!」

俺はいつものように、ほっぺにお帰りなさいのキス。

「あれ、進矢からメールが来てる。」

「なに、なに、なんて?」

「海光先生のモデルをやることになったのですが、できればもうちょっとあか抜けたカッコをしたいと思うので、お手伝いいただけませんか?」

「進矢さんってメールまで真面目だね。」

「でもそうなら、先生のこと気に入ったんだろうな?」

「そうだよねー、ヤッター!」

「君、デパート終わってから時間あったら、俺達に付き合って。」

「うん。学校はもう冬休みだから、いつでもいいよ。」


進矢は俺が個人的なスタイリストを持つ前みたいな、大学生丸出しなカッコをしている。悪いわけではないけど、ファッショナブルとは言い難い。雄真や海光の世界とはやっぱり違う。雄真が、

「なんのモデルなの?」

進矢が、

「新しい作品のモデル、としか聞いてません。」

「先生のポートフォリオに入れるヤツだね。ギャラちゃんともらった方がいいよ。普段はプロのモデル使うんだから。」

「そんなこととても言えませんよ。」

「あれから先生には会ったの?」

「いいえ。」

「そのモデルやるのはいつなの?」

「あさって。」

「今日の予算はどのくらい?」

「ほとんどないくらい。」

俺達は銀座通りにある外資系のファッションビルに入った。ここならリーズナブルな価格で、ファッショナブルなワードローブが揃う。雄真がひとりではしゃいでいる。そして女の子のコーナーばっか歩き回ってる。俺は雄真の襟首をつかんで、

「雄真。」

「はい、はい。」

進矢はフロアの真ん中に突っ立って、あまりにたくさん並んだ服の洪水に、茫然としている。その様子は結構可愛い。

「進矢ちゃん。」

雄真はなぜか進矢をちゃん付けすることに決めたらしい。

「進矢ちゃんはイケメンさんだから、ベーシックにし過ぎるとつまんなくなるのよね。」

俺は、

「って、それどういう理論なの?」

「イケメンって頑張らなくてもイケメンだから、ブサイクな人の方がお洒落じゃない?」

「だから?」

「もしもイケメンがメチャお洒落なカッコして立ってたら、卒倒ものじゃない?」

「俺、分からん。」

進矢が、

「俺、分かりますよ。自己主張のある服着ろ、ってことですよね?」

「そう、そう。頭いい、進矢ちゃん。礼ちゃんは僕の好みで、グッと大人の男にしてるけど、先生は若いのが好きよ。」

「他には先生、どんなのが好きなんですか?」

「あのね、先生の作品はね、絶対顔だけじゃすまないから。」

「え、っていうことは?」

「脱がされる。大抵胸から上くらいだけど。ヤツの常套手段。」

「へー。他には?」

「今で食ってきた男の子は、おバカでミーハーなのが多かったけど。モデルやってる子とか、アイドル目指してる子とか。その子達の服はカジュアルで、派手で、ジーンズ、Tシャツ、ベースボールキャップ。」

「じゃあその全く逆にしましょう。」

「え?」

「だって、今までそういう子と付き合ってたんなら、全然違った方が意表を突いて新鮮でしょう?」

ここで俺が口を出す。

「って、いうことは、大人で、落ち着いてて、お利口で。」

雄真がいくつか選んで、彼が試着してる時、上半身脱いだとこを我々に見せて、

「僕ね、高校でレスリングやってたから。」

わー、ミケランジェロのダビデ像。雄真が、

「これはね、今までの子達とは正反対。こんな子いなかったもん。細いのばっか。じゃあね、どうせ脱がされるから、脱がせにくい服にしよう。面白い。タートルネックなんてどう?Tシャツ素材の。」

「面白いですね。俺、着痩せするから、脱ぐまで絶対分かんないですよ。」

それで決まったのは、下から、ピカピカの紺の靴、ダークグレイのコーデュロイのパンツ、Tシャツ素材の黒のタートルネックに、アイボリーのコットンセーター。それから超渋めのシルクプリントのスカーフ。みんなセールばっかだから、大した出費ではなかった。そのあと俺達は、近くのコーヒーショップに寄った。雄真が、

「これ、僕からのプレゼント。サンプルだけど。シャネル。」

「へー、香水?僕こんなのつけたことないですよ。」

「ちょっと匂い嗅いでみて。」

「わー、これですか?」

「うん、セクシーでしょ?先生、服脱がせた時、失神する。」

「今日はありがとうございました。」

俺は、

「進矢、あの先生のことそんなに気に入ったの?」

「そうじゃなくて、あの人、俺に惚れさせるとか言ってたから、逆にあっちに惚れさせたら面白いんじゃないか、って。」

雄真が、

「ゲーム感覚?」

「って言うか、もっとなんか真剣勝負?押し倒されないで、こっちが押し倒す。上位に立ちたい、ということです。」

「ヤダー、上位に立つなんてエッチ!」

俺は、

「雄真。」

「ゴメン。妄想が・・・ほら、これね、先生が前に付き合ってて、学校にバレそうになって別れた子。」

進矢は、

「え、こんな可愛い子?」

「僕達、仲いいから、いつもお互いの顔でメイクの練習し合ってんの。本職のモデルだよ。雑誌とか出てる。」

「そんな子と付き合ってたんじゃ・・・」

「大丈夫、大丈夫。この子、ほんのガキだから。全然進矢ちゃんとはタイプ違うし。大人の魅力で、グッと押し倒す。やだ、楽しみ!どうなったかすぐ教えてね。」

数日後、進矢から長々したメールが来た。


雄真さん、礼士さん、先日はお世話になりました。海光は僕の姿を見て、イメージが違う、用意してきたメイクのデザイン画が全く使えない、どうしようって焦っているから、今の僕を見て思ったそのままを表現してください、って言ったんです。セクシーな流し目で。

テーマがなければ作品が創れない、ってまた焦ってるから、僕がセーターとTシャツを脱いだんです。そしたらあのシャネル、効き目ありましたよ。海光、泣きそうだったから。それで僕、言ってやったんです。僕は美術の研究してるから、中途半端な作品では許しませんよ、って。そしたらまた泣きそうになって、そこは彼のマンションにあるアトリエで、僕はゆっくりその部屋を歩き回って、彼のカラフルな、綺麗な色のたくさん入ったパレットを見付けて、僕は自分で色を混ぜながら腕や身体に指で描いていったんです。それを見て彼は観念したように、俺をカンバスに作品を仕上げていきました。写真、添付しましたが、素晴らしい作品になったと思います。ルネッサンスの絵画に使われた、テンペラ画やフレスコ画などの独特な明るい色が、たくさん使われています。


メールはそこまでで、写真を見ると、確かに素晴らしくて、雄真も感動して、

「海光先生って、若い男の子食ってるだけの、チャラいヤツじゃなかったんだ。でもこの続きはどうなったの?それが1番肝心なところじゃない?」

「あ、今、また進矢から続きが来た。」

「マジ?ヤッター!」


身体って面白いもんですね。メイクのブラシやスポンジで触られると、自分でも知らなかった性感帯に気付きます。首とか、目の周りとか、ゾクってするほどでした。目の周りが感じるって変ですか?って海光に聞いたら、それはあんまり聞いたことがない、って。

彼が僕の身体に触っているうちに、僕の身体からは力が抜けて行って、しまいにはセックスのことしか考えられなくなって、でも彼の作品ができ上るまではなにもできない、って思ったんですけど、なんかそれは失敗して、僕は彼の手をつかんで、それにキスして、そしたら彼は俺にキスしてくれて、結局せっかく綺麗にできかけてた作品が、みんな擦れて、色が混じって、僕も海光もイってるのに、彼はまだ俺の身体に色を載せて、それでできた作品が、今送った写真です。

僕、言わなかったんですけど、実は初めてだったんです。田舎だったし。ゲイなのは生れた時から知ってたんですけど。また色々教えてください。近々、お会いしましょう。

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千本松由季

Author:千本松由季
東京都出身。カナダ在住。
男同士の恋愛を、様々なテーマで書いています。作品は長編を中心に50作以上。
本にしてくださる出版社を探しています。お問い合わせも歓迎しております。
bridgetteyuki@hotmail.com
イラストも描いています。

©Yuki Sembommatsu 2017-2018